空圧式輸送のリスク
空圧式輸送は、比較的短距離のバルク製品の輸送用として瞬く間に一般的なソリューションとなりましたが、その理由は明らかです。適切に実施すれば、生産施設内や車両への積み下ろしににおける、さまざまな材料の移動にきわめて効果的かつ、効率性、柔軟性、信頼性に優れた方法となります。
ただし、ほぼすべての生産工程と同様、特に低レベルの機器を使用し、適切な安全対策を講じていない場合には、複数のリスクを伴います。
空圧式輸送の場合、主な危険要因は粉塵です。
粉塵の種類
潜在的なリスクをもたらす粉塵は、以下の2種類です。
- 爆発性粉塵は、特定の材料輸送時に発生します。
- 粉塵は、きわめて埃っぽい周囲環境に存在します。これには空気中の粉塵濃度だけではなく、機器の表面などに堆積した粉塵も含まれます。
まず、すべての粉塵が問題となるわけではないことを知っておくことが重要です。危険な粉塵とは、空気中の酸素と混じると着火し、爆発する可能性があるものです。
爆発性粉塵とは
経験則として(以下の一部例外を除き)、この爆発性粉塵は、可燃性材料を扱う空圧式輸送などの産業プロセスの副生成物です。
残念ながら、実際にはきわめて多数の可燃性物質が存在します。例えば、砂糖、小麦粉、穀物、木材など、多くの食品やその他有機物を扱う際に発生する粉塵は可燃性です。
さらに、多くの化学物質や金属、加えて非金属の無機物も爆発性粉塵源となる可能性があり、実質的に肉眼では判別できません。つまり、(鉄やアルミニウムなどの)大きな塊で、通常は「可燃性」とはみなされない物質でも、適度な濃度で、粉塵が十分に微細であれば、燃焼や爆発を引き起こす可能性があります。
そのため、粉塵の発生や堆積がありうる作業現場には潜在的な危険要因があり、発生し得るリスクを評価する必要があります。爆発性粉塵を軽視してはならないからです。
粉塵爆発の五角形
ただし、壊滅的な影響を及ぼすには、複数の条件が揃う必要があります。これは、粉塵爆発の五角形とも呼ばれます。
燃焼には、燃料、酸素、発火源の3つの要素が必要です。燃焼には、適度な粉塵濃度が(空気中などに)分布している必要があります。また、そこから生じた粉塵雲が、閉鎖空間や限定された空間に閉じ込められる必要があります。これら5つの条件のすべてが満たされる必要があります。つまり、屋外環境、または酸素や火花が存在しない場合には、粉塵爆発は起こり得ません。
粉塵爆発の五角形は、一部の空圧式輸送システムがリスクをもたらす理由も示しています。これらのシステムは、上記の材料の多くの輸送に使用され、閉鎖空間(配管ネットワーク、サイロなど)に設置されており、粉塵が分布する可能性があるからです。
粉塵の多い環境下での作業に伴う危険
しかし、潜在的なリスクがあるのは空圧式輸送システム中の粉塵に限りません。埃の多い環境下で作業する場合、つまりシステムが稼働する周囲環境にきわめて埃が多い場合にも、固有の危険が存在します。
この場合、粉塵爆発の五角形の5つの要因が、空圧式輸送システム以外に存在する可能性があります。また、機器の選択を誤ると、システム自体が火花を発生し、爆発の原因となる可能性もあります。
爆発を防ぐ方法
幸い、いずれのシナリオのリスクも、適切なテクノロジーを採用し、安全対策を講じることで軽減できます。基本的に必要なことは、粉塵爆発の五角形の要因の1つを方程式から除外する。ことです。
リスクを把握し、信頼できる適切なテクノロジーを導入することが重要です。これには、欧州連合のATEX指令が役立ちます。この指令には、爆発性環境の作業現場や機器に関する要件が規定されています。
最初の手順として、現場で関連性の高いATEXゾーンが規定されているかを確認する必要があります。この情報をもとに、必要な認証済み機器を入手できる機器サプライヤーに連絡することができます。爆発リスクを軽減するための万能ソリューションは存在しないことに留意することがきわめて重要です。つまり、機器メーカーがお客様固有の事例を検討し、お客様のプロセスニーズに適したカスタマイズソリューションを構築する必要があります。