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EVバッテリー接合について知っておくべき6つの事項

7 分(読了目安時間) 7月 22, 2021

高電圧のEVバッテリーパック組立工程は、バッテリーの性能、安全性、耐久性に大きな影響を与えます。バッテリー製造の特殊な要件を満たし、接合工程の効率を高めるには、適切な接合技術の選択が不可欠です。そのため、以下の内容に知見があることが重要になります。

エレクトロモビリティソリューション

 

アトラスコプコは、バッテリー組立の革新的な接合技術と幅広い専門知識を備えた、エレクトロモビリティ分野の戦略的パートナーです。ビデオをご覧いただき、アトラスコプコのバッテリー製造ソリューションの詳細をご確認ください。

1. 電池間結合:結合時に気泡があると安全問題に発展

必要なエネルギーを供給するために、角柱形バッテリーセルをセルスタックにしっかりと取り付ける必要があります。セルは大変デリケートなため、取り付けは非常に困難です。接合工程で熱や力を加えることはできません。二液混合型接着剤接合を使用することにより、硬化の際に外部からの入熱が不要で、接合部は剛性や衝突の挙動に対する最も厳しい要求にも適合します。低弾性接着剤を使うことにより、稼働時の振動を吸収し、バッテリー寿命を長くします。また、充電/放電時のセルの大きさの変化があってもある程度問題は発生しません。接着剤は気泡の発生を防ぐために、正確かつ高い信頼性で塗布する必要があります。完全な密着と絶縁は非常に重要です。気泡が接着剤内にある場合、衝突時に短絡を起こすおそれがあり、高電圧システムにおいては安全面での大きな問題となります。

セル-セル間接合
セル-セル間接合
二液混合型接着剤による結合は、電池間接合に最適です。ただし、安全を確保するには、気泡を防ぐ塗布技術が必須です。
 
二液混合型接着剤による結合は、電池間接合に最適です。ただし、安全を確保するには、気泡を防ぐ塗布技術が必須です。
 
cell Stack Assembly no Shadow LR
 
 
cell-to-cell 2C Application
 
エレクトロモビリティ向けソリューションについてはこちらをご参照ください。
エレクトロモビリティ向けソリューションについてはこちらをご参照ください。
こちらから資料をダウンロード
 
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2. セルスタックの強化:低温接合の必要性

衝突時にバッテリーを保護するため、セルスタックは横方向の支持材で補強されます。スポット溶接などの一般的な接合技術は、熱や溶接スパッタにより高精度のセルに悪影響を与えるため、この組立には適しません。 セルフピアシングリベットなどの常温接合技術がその解決策になります。このクリーンで完全な機械的接合プロセスは、セルに入熱することがなく、また有害な気体や溶接スパッタも発生しません。セルフピアシングリベットは、アルミニウムや鉄など異種素材の多層接合が可能で、アースとなる導電性も得られます。接合工程は信頼性が高く、短時間で施工できます。このことにより設計の自由度を高め、高いレベルでの生産性を維持しながら、最大の安全性を確保することができます。

セルフシングリベットによるセルスタックの補強
セルフシングリベットによるセルスタックの補強
セルフピアシングリベットなどのクリーンな常温接合技術により、セルスタックを支持材で補強することができます。
 
セルフピアシングリベットなどのクリーンな常温接合技術により、セルスタックを支持材で補強することができます。
 
module Assembly no Shadow LR
 
 
SPR module assembly
 
 
 

3. ギャップフィラー:熱伝導性ペースト塗布の難しさ

バッテリー製造最大の課題は、温度管理です。バッテリーセルの性能を維持し、過熱を防ぐためには、決まった温度範囲内で稼働させる必要があります。このような理由により、熱伝導性ペーストが使用されますが、熱伝導を確保するには、気泡を発生させずに接着することが絶対条件になります。液状のギャップフィラー材を大量に塗布することは大変困難であり、高い精度の計量技術が必要とされます。追加のモニタリング機能も有効です。レーザーやカメラベースのシステムなどでビード位置をモニタリングすることで精度が高まり、塗布エラーを検知して即座に修正することが可能です。これらの技術によりサイクルタイムを短縮し、再加工や品質保証にかかるコストを削減することができます。 ギャップフィラー材料は研磨性が高く、装置が早期に摩耗することを考慮する必要もあります。材料供給や計量装置などのシステムコンポーネントは、取り扱いが難しい材料を大量に、かつ高い生産性で処理できるように設計する必要があります。

ギャップフィラーの塗布
ギャップフィラーの塗布
熱伝導を確保するため、ギャップフィラーを高い精度で塗布する必要があります。
 
熱伝導を確保するため、ギャップフィラーを高い精度で塗布する必要があります。
 
gap Filler no Shadow LR
 
 
Application GapFiller
 
 
 

4. モジュールの取り付け:締付けの調整が必要なソフトジョイント

バッテリーモジュールは、トレイ底部にある液状ギャップフィラーペーストの上に取り付ける必要があります。この取付は締付により行われます。しかし、柔軟な挙動になるギャップフィラーへの接合は困難です。ペーストが予期せぬ速さではみ出したり、侵入した空気が残ることがあります。 バッテリーモジュールとサーマルコンパウンド間にペーストを均一に配分して完全に密着させるには、締付工程が完全に制御可能でなければなりません。均等な締付工程を実現するために、電子制御のマルチスピンドルソリューションが推奨されます。同期して最終締付を実施することにより、サイクルタイムを短縮してトレイに各モジュールを均等に固定することができます。液状の電導性ペーストの挙動を考慮し最適な密着を得るためには、プログラム化された締付方式が必要です。

モジュールの取り付け
モジュールの取り付け
トレイにモジュールを取り付ける際、ギャップフィラーを均等に、気泡のない状態にしておく必要があります。
 
トレイにモジュールを取り付ける際、ギャップフィラーを均等に、気泡のない状態にしておく必要があります。
 
mounting Of Modules no Shadow LR
 
 
Tightening modules
 
 
Mounting Modules Gap Filler
 

5. カバーシーリング:水分とガスからの保護が必須

全モジュールをしっかりと固定し、バッテリー管理システムを取り付けた後、トレイを密封する必要があります。水分の侵入を防ぐことは絶対条件です。水分によりバッテリーの出力が大幅に低下し、損傷や腐食が発生するおそれがあります。さらに、バッテリーから有害なガスが発生して、周囲の人に害を及ぼす可能性があるため、内部スペースを内側と外側から、完全に密封する必要があります。 このために、シーリング剤を高い精度で途切れなく塗布することが重要です。シーリング剤はカバー、またはトレイに塗布します。バッテリーは熱にさらすことができないため、一液ホットブチル、二液ポリウレタン、二液シリコンなどの材質が最適です。これらの材質にオーブン硬化は不要です。ホットブチルは修理作業時に除去することもできます。どの材質も均一な塗布が必要で、特にビードの最初と最後を正確に塗布して、しっかりと密封することが重要です。

カバーシーリング
カバーシーリング
液状ガスケットは、バッテリートレイに湿気が入らないよう100%密封する必要があります。ビードは均一で、途切れのない状態でなければなりません。
 
液状ガスケットは、バッテリートレイに湿気が入らないよう100%密封する必要があります。ビードは均一で、途切れのない状態でなければなりません。
 
coverSealing noShadow LR
 
 
Cover sealing
 
 
Cover sealing bead
 

6. カバーとトレイの接合:サービス性を高めるため、取り外し可能な接合が必要

最後に、ハウジングにカバーを取り付けます。この段階ではハウジングに外側からしかアクセスできないため、接合技術を選択する際にはこの点を考慮する必要があります。この接合は、メンテナンスと分解が容易にできるように、取り外し可能にする必要もあります。 これらの要件には、フロードリル締付技術が最適です。スクリュを高速で回転させ、圧力をかけて材料を温めます。この技術はファスナーを材料スタックに貫通させ、接合プロセス中にスレッド生成を行います。高い効率と柔軟性で、異材のスタックに対応するこの接合技術は、信頼性に優れた機械的接合が可能です。この接合プロセスは取り外し可能で、片側からのみのアクセスで使用可能、表面処理は不要です。金属部品同士は導電接合されてファラデーケージを形成し、電磁干渉を防ぎます。

フロードリル接合によるカバーとトレイの接合
フロードリル接合によるカバーとトレイの接合
フロードリル締付による蓋の組みつけは、効率の良いワンショットプロセスです。この接合は片側から入り、後で取り外すことができます。
 
フロードリル締付による蓋の組みつけは、効率の良いワンショットプロセスです。この接合は片側から入り、後で取り外すことができます。
 
cover To Tray no Shadow LR
 
 
Cover flow drill fastening
 
詳細について
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アトラスコプコの革新的な自動車業界向け接合技術
 
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