2023/11/29
アトラスコプコは、ポルトガル南中央部のアレンテージョにある病院の建設現場で、効率的にクレーンに電力供給するため、信頼性の高いZBPエネルギー貯蔵システム(ESS)を供給しました。プロジェクトを管理するスペインの多国籍企業であるACCIONA社は、バッテリベースの貯蔵ステムを使用して、クレーンのモータの環境フットプリントを最適化し、燃料、エネルギー、ライフサイクルの大幅な節約を達成するために、発電機を使用したハイブリッドソリューションを構築しました。
アトラスコプコの地域におけるパートナーであるACCIONA社は、病院の建設現場でクレーンの唯一の動力源としてディーゼル駆動発電機を使用していました。ユニットは、負荷プロファイルやクレーンの電源投入時の電力需要のピークを効率的に処理できましたが、ソリューションが大きすぎることが明らかになりました。
クレーンの高電流スパイクや低負荷など、負荷プロファイルが変化するため、発電機は24時間、週5日作動する必要があり、ほとんどの時間は最適な運転範囲外でした。これにより、過剰な燃料消費が発生し、コスト、CO2および騒音排出量の増加、故障や予期せぬ不具合のリスクが高まりました。これは、非常に過酷な条件下で発電機のエンジンが作動していたためです。
数ヵ月間、ディーゼル駆動の発電機を使用した後、ACCIONA社は、クレーンのモータに電力を供給するためのよりエネルギー効率の高いソリューションを探していました。
効率的なソリューション
このエネルギー貯蔵システムは、長寿命でメンテナンスが容易な高密度リチウムイオンバッテリを採用しています。ディーゼル駆動の発電機とのハイブリッドソリューションでセットアップすることで、このシステムは、都市建設などの排出ガスが少なく騒音の影響を受けやすい用途で使用する企業に最適であることが実証されています。
ZBPエネルギー貯蔵システムは、低負荷をカバーするために使用され、発電機は望ましくない条件下での作業から解放されます。稼働日が始まり、電力需要が増加すると、バッテリが充電されている間に発電機が電力を供給し始めます。クレーンに電力を投入して電力需要がピークになると、充電済みバッテリが発電機の電源を補完してモータに効率的に電力を供給するために使用されます。
75キロワットの発電機が稼働するのは、ZBPの充電が必要な2日に4時間のみです。その結果、ACCIONA社は、環境への影響を抑えながら現場での生産性レベルを向上させ、日々の燃料消費量、CO2排出量、騒音を大幅に削減することができました。
さらに、発電機の稼働時間は週50時間以上から週10時間未満に短縮され、常に最適な運転範囲内で作動しているため、ディーゼル駆動ユニットの保護が向上し、オーバーホールおよびメンテナンス要件が最小限に抑えられます。このエネルギー効率に優れたセットアップは、発電機の寿命を延ばすだけでなく、全体的な性能も最適化します。
運転コストとCO2排出量の削減
アトラスコプコのZBPエネルギー貯蔵システムを使用した3ヵ月間の結果に基づいて、ACCIONA社は、クレーンに電力を供給するために、年間5,000リットルの燃料を節約できると推定しています。また、関連する運転コストと発電機の運転時間も最大80%削減されます。これにより、発電機のライフサイクルが大幅に延長され、メンテナンスコストと環境への影響が大幅に削減されます。この場合、毎年約15トンの、大気中へのCO2排出量が回避されることになります。
バッテリベースのハイブリッドエネルギーソリューションは、より持続可能な代替手段を必要とする、より多くの産業分野における電源供給の変革に不可欠です。ZBPシステムをソリューションに統合することで、プロジェクトの収益性が向上し、環境フットプリントが大幅に削減されました。さらに、プラグアンドプレイの設置、メンテナンスの必要性の軽減、遠隔監視システムにより、エンドユーザーは安心して利用できます。
南ヨーロッパでの標準を確立
電力網および/または再生可能エネルギーを備えた独立型エネルギー貯蔵システムおよび排出ガスのないハイブリッドソリューションは、北欧地域などのより厳しい排出ガス規制のある地域で急増していますが、タンデムESS発電機は、南ヨーロッパの、とりわけ建設現場、大都市圏、イベントで、幅広く統合された電源ソリューションになりつつあります。
ACCIONA社と協力し、電源分野におけるエネルギー転換の最前線に立つことを誇りに思います。当社は、ハイブリッドシステムの利点を明確に示し、より効率的な運用を目指す作業現場に不可欠であることを実証したこのプロジェクトに機器を提供していることを誇りに思います。
アレンテージョにあるACCIONA社のプロジェクト
ACCIONA社は、10階建ての本館の建設に加え、127,000 m2の緑地の開発、ヘリポートや1,560台分の駐車場の建設も行っています。また、インテリア道路の建設や、EN 114-Estrada de LisboaとEN-380を結ぶ主要流通道路との接続も行います。400床を収容するアレンテージョ病院は、2024年に完成予定です。