2021/04/20
季節外れの雪不足に対処し、ゲレンデを最適な状態に維持するため、チリのポルティージョスキーリゾートでは、4台のアトラスコプコQAS発電機を導入し、25台の人工降雪機を稼動して、製雪量を5倍に増加することに成功しました。
チリには、数々の世界的スキーリゾートがあります。スキーリゾートは観光産業の柱であり、チリ経済の主要なけん引力でもあります。南米で最も歴史のあるスキー場であるポルティージョをはじめ、チリのスキー場には年間約150万人が来場します。降雪量が平年よりも少ない年には、ポルティージョスキーリゾートの数多くの中級コースを理想的なコンディションに維持するため、10ヘクタールのゲレンデ内の9つのコースに、人工降雪により雪を補充しなければなりません。2019年シーズンには、すべてのコースに、25台の人工降雪機を配置した人工降雪システムが新たに導入されました。これらの人工降雪機は、本館隣の発電室に設置されたスキッド搭載のアトラスコプコQAS 630発電機4台によって稼動します。
製雪量を大幅に増加
新システムの導入により、製雪量は先シーズンと比べて5倍に増加し、周囲温度が許容範囲内のときに昼夜連続で稼働した場合、70時間に最大40 cm(16インチ)の製雪が可能になりました。人工降雪機の運転には、一定の環境温度と湿度(%)の2つの気候変数が必要です。システムがこれらの条件を検知すると、製雪サイクルが段階的に稼動します。1日数時間しか稼動できないこともあれば、24時間フル稼働することもありますが、いずれの場合も唯一の電力供給源であるQAS発電機に100%依存しています。新システムは全自動運転で、メンテナンスチームはスマートフォンからも常時、機械の運転状況を制御、監視できます。システムは移動式と固定式の機器で構成されているため、コース全体に均一に降雪が可能で、必要に応じて機器を移動することができます。
QAS発電機
電力管理システム
各QAS 630ユニットの主な特長であるエネルギー管理システムを備えたコントローラは、移動式または独立型の発電機を組み合わせて複数の発電機を並列運転する場合にも、燃料消費量を最適化して、耐用年数を延長します。ポルティージョスキーリゾートの発電機は、アトラスコプコの電力管理システム(PMS)を内蔵しています。この革新的システムは、負荷需要に応じて4台の発電機の並列運転を管理し、負荷の増減に応じてユニットを始動/停止します。これにより、各発電機の負荷が一定レベルに維持され、燃料消費量が最適化されます。さらに、発電機を低負荷で運転する必要がないため、エンジンの損傷や機器寿命の短縮化を防ぎます。
エネルギー需要が時間とともに変動する環境において人工降雪機の稼動を検討するお客様に、アトラスコプコは4台のQAS 630発電機とPMS電力管理システムを組み合わせた構成が、当初要請された1000 kVA発電機2台、または2000 kVA発電機1台よりも効率的であることを実証することができました
アトラスコプコパワーテクニークチリ
ロペスは、アトラスコプコのソリューションが選ばれたのには、他の要因があったことも認めています。最大の要因は、発電機のコンパクトなサイズです。他社の同等製品より20%も小型のため、既存の建屋内に収容できます。加えて、簡単な設置、設定可能なアスペクト指向プログラミング(AOP)コントロール、簡単な操作、さらに、アトラスコプコが基本的な工学調査を実施し、もう一つの主要な構成要素である製雪電力ネットワークの設置に果たした役割も重要な要因となりました。
想定外のメリット
ポルティージョスキーリゾートでは、QAS発電機の導入により想定外のメリットも得られました。ポルティージョホテルの繁忙期は冬季です。そのため年間6か月間は、毎日午後5時45分~午後11時10分の間、通常の送電網を遮断し、唯一の電力供給源として発電機を利用し、すべてのエネルギー需要を満たしています。