2023/09/13
欧州最大の多目的ターミナルであるアントワープユーロターミナル（AET）では、大規模なエネルギー変革が行われています。世界最大のロールオン、ロールオフ（RoRo）の港であるアントワープブルージュ港を拠点とするAETは、ブレイクバルク、コンテナ、プロジェクト貨物、重量物リフト、車、その他のRoRoユニットなど、さまざまな種類の貨物やプロセスを専門に毎日扱っています。より持続可能な運用のために、同ターミナルでは、電源インフラストラクチャとエネルギー使用量を確認しています。
エネルギー移行の中心となるのは、アトラスコプコの4つのZBC 250-500エネルギー貯蔵システムです。革新的なバッテリベースのZBCユニットは、再生可能エネルギーの保存と供給に使用され、現場での消費を最適化し、数千台の車両の試運転に電力を供給しています。
港湾における電力変革のパイオニア
社会の環境に対する意識が高まり、世界各国の政府が環境への影響を減らすことを宣言する中、港湾も二酸化炭素排出量を削減するために、より持続可能な事業運営を目指しています。アントワープブルージュ港は、2050年までに実質ゼロにして、世界で最も持続可能な港となることを目指しています。
アントワープユーロターミナルの車両保管施設
この港のCO2排出量は毎年約1,700万トンで、ベルギー全体のCO2排出量の約10%に相当します。これらの排出量を削減し、カーボンニュートラルな目標を達成するために、再生可能エネルギーと革新的な技術を採用し、グリーンディールオブホライズン2020の一環であるPIONEERSコンソーシアムをまとめています。
PIONEERSは、アントワープユーロターミナルをはじめとする46のパートナーから成る国際的な団体であり、港湾における温室効果ガス排出量の削減に共同で取り組んでいます。このターミナルには、すでに10.6 MWを生成できる3台の風力タービンが設置されており、さらに2 MWの再生可能エネルギーを生成するソーラーパネルが取り付けられています。これらの再生可能エネルギー源から生成された電力を、必要なときに必要な場所で柔軟に使用できるようにするために、風力や太陽光の存在に関係なく、同ターミナルではエネルギー貯蔵戦略を策定しました。
私たちは、目の前で電源の変革を目撃しています。過去には、ネットに大きく依存していましたが、再生可能なエネルギー源を保存し、電力グリッドからの独立性を高めることができる革新的なソリューションが必要でした。エネルギー貯蔵システムは、エネルギーの使用を最適化し、排出ガスを削減し、PIONEERSプロジェクトの一環として当社がグリーンディールの目標を達成するのを支援する上で理想的です。
信頼性の高いエネルギー貯蔵ソリューションにより、ターミナルは、再生可能エネルギーの使用を統合し、グリッドから必要な電力出力を制限することで、さまざまなエネルギー源を効率的に管理でき、エンドユーザーにとって大きな節約になる可能性があります。
世界最大のカーポート
アントワープブルージュ港は、世界最大の港であり、電気自動車を含むロールオン、ロールオフ貨物の輸出入が非常に活発です。2021年には、港は220万台の自動車を管理し、365,000の駐車容量を有していました。新しい車両貨物が港に到着すると、貨物は積み下ろされ、港内の専用センターに送られ、そこでテストと検査が行われてから納車されます。
アントワープユーロターミナルに設置されたアトラスコプコのZBC 250-500の4つのエネルギー貯蔵システム
ジェームズは、次のように続けます。「現在、ターミナルの埠頭には約50,000台の車があり、1日に1,000台を超えるトラックが訪れ、貨物は鉄道、陸路、水路で到着します。このような車両の試運転を可能にし、市場に到着する前に電子機器をチェックしてバッテリを充電できる、信頼性の高いエネルギー貯蔵システムを用意したいと考えていました。」
アントワープユーロターミナルは、柔軟性、信頼性、持続可能性に優れたエネルギー貯蔵ソリューションを求めてAir Plus社にサポートを依頼しました。「アントワープユーロターミナルは、エネルギー効率を高めるために万能のソリューションを探していました。これは困難なプロジェクトであり、高いエネルギーニーズを必要としていました。ターミナルは、さまざまなソースからのエネルギー入力を統合するためのモバイルソリューションを求めていました。」と、Air Plus社のセールス&マーケティングディレクター、マーク・アダムス氏は述べています。
リチウムイオンバッテリをベースとしたカスタムメイドのソリューション
エネルギー貯蔵システムでは、さまざまな再生可能エネルギー源およびグリッドからのエネルギーを貯蔵し、何千台もの車両のバッテリや電子システムが正しく機能するよう必要に応じて供給する必要がありました。
当社のパートナーであるAir Plus社から連絡があり、製図板に戻って、ソーラーパネルや風力タービンをバッテリパックに接続し、その再生可能エネルギーを保管して現場で使用する方法を見つけるようにと依頼されました。電力の要求がある場合、ZBCエネルギー貯蔵システムは、そのエネルギーの放電と供給を開始するよう指示を受けます。これは、車両の充電と試運転に使用できますが、ターミナルの他の用途で使用することもできます。
ZBCエネルギー貯蔵システムおよびZ充電器の設置
ZBCエネルギー貯蔵システムは、高密度リチウムイオン電池の利点を活用して、アントワープユーロターミナルの運用環境への影響を最小限に抑えることができます。風力・太陽光発電を保存することで、エネルギーの効率的な利用を確保するだけでなく、結果的に、化石燃料の全体的な消費量を削減し、CO2排出量を削減しています。
各システムの保存容量は537 kWhで、現場に4つのシステムが設置されています。合計保存容量は2.15 MWhで、これは232の家庭の1日平均消費量に相当します。
「アトラスコプコのZBCエネルギー貯蔵システムは、モジュール式で移動式です。これらのデバイスを移動することで、さまざまなエネルギー源を使用してさまざまなソリューションに統合することができます。 ターミナルでは、電源装置全体の構造を変えたいと考えているため、この柔軟性は特に重要でした」 とマーク氏は続けます。
Z充電器を操作するアトラスコプコの技術者
ECOコントローラTMは、アトラスコプコの新しいエネルギー管理システム（EMS）であり、必要に応じて貯蔵エネルギーを供給し、その配分を最適化し、常に十分な電力出力を確保します。ECO コントローラTMをソリューションの頭脳として使用することで、電力グリッドでピークシェービングし、負荷プロファイルをフラット化して低負荷をカバーし、ピーク時のエネルギー需要を効率的に管理することができます。
さらに、アトラスコプコは最近、独自の高速充電器、Z充電器を発売しました。この革新的なソリューションは、バッテリ駆動の電気自動車や機械をすばやく充電できるように電圧を上げることで、充電速度を向上させます。定格出力160 kWのZ充電器は、通常の電源ボックスよりも7倍高速で、通常のウォールチャージャーよりも42倍高速です。
エネルギー貯蔵システムでネット独立
当初は、ZBCエネルギー貯蔵システムが車両用に指定されていましたが、設置後、アントワープユーロターミナルでは、必要に応じて効果的に試運転と充電を行うことができるようになりました。しかし、システムがターミナルのエネルギー変革に貢献し、大きな影響を与えていることから、ターミナルは、さらに大きな恩恵を受けています。この革新的なソリューションは、ターミナルのエネルギー消費量に対する理解において重要な要素となっており、その結果、カーボンフットプリントを削減し、PIONEERSの一員として目標を達成することができました。
エネルギー貯蔵システムは、単に車をテストして準備するだけではありません。これは、港の運用と活動のエネルギー効率を高めるための第一歩にすぎません。これらのエネルギー貯蔵システムは、より持続可能な事業を実現するために、より広範な電力供給の一部となっています。バッテリの導入はまだ始まったばかりであり、かなりの成功を収めることを願うばかりです。
エネルギー貯蔵システムは、世界中の将来の再生可能な電源に不可欠であり、すべての企業や幅広い社会事業がエネルギー使用量を変革し、業務をより効率的かつ持続可能なものにすることができます。適切なタイミングで適切な場所にエネルギーを用意することで、誰もがニーズに合わせて柔軟にエネルギーを使用できるようになります。
