醸造所向けモジュール式発電機の大規模展開:レンタルか購入か?

2022/01/12

当社の見込み顧客である大規模醸造所が、大きな決断を迫られていました。 

選択肢1

地域の電力供給網が改修され、新たに造られたガラス工場が操業を開始できるまで3年待つ。

選択肢2

工場をできるだけ早く稼働させるために必要な、4基の1 MW発電機を購入する。

選択肢3

レンタルの発電機を利用する。

選択肢1は、まったく考慮されませんでした。また、初期の実現可能性調査では、レンタルよりも購入する方が良いとされていました。しかし、この調査は資本支出、サービス契約、諸経費、減価償却、管理費など、あらゆる要素を検討したものであったものの、「利用率が100%」といういいかげんな前提に基づいていたのです。 

実情はこのような前提と大きく異なっていたことが判明しました。 

よく練られた計画:計画された期待値と変動する現実

反省は大切です。次に良いことは機動性です。機動性はこの事例においては、予測できない事態への適応能力と定義できます。たとえば、安全点検後の立ち上げで生じる3か月の遅れ、長い時間を要するメンテナンス作業、サプライヤーとの紛争、売却時の簿価の損失などです。これらはすべて、必要な電源モジュールをレンタル利用することで解決され、時間、管理、心配事は言うまでもなく、大幅なコストの軽減につながります。 

予算と現実:詳細説明

2015年:発電機と変電設備のすべての部品が納品され、予定どおりに設置。

購入

お客様のプロジェクトチームは、全機器の予定どおりの納入を確保するという大変なプレッシャーの中で、素晴らしい仕事をしました。また、設置業者は昼夜を問わず作業を行い、期限までにすべての稼働準備を整えました。

しかし、残業時間が増えたため、設置コストが若干増加しました。

レンタル

アトラスコプコレンタルが現場の詳細分析を行い、3Dによるソリューションの視覚化など、すべての技術文書を作成できます。

  • 予算:8万ドル
  • 現実:9万5000ドル

  • 予算:8万ドル
  • 現実:8万ドル

2016年:最初の障害が発生しました。あらゆる準備が整っており、スタッフもトレーニングを受けていましたが、安全点検において再構成が必要な特定のリスクが報告されました。その結果、最初のピークシーズンを逃し、需要は4 MWから平均で1 MWにまで落ち込みました。

購入

発電機は1月1日の時点で完全に稼働できる状態でしたが、3か月後まで試運転が行われませんでした。 

いったん稼働すると、大きな技術的問題もなく発電機の状態は良好でした。しかし大抵の場合、1基の発電機しか稼働していませんでした。工場全体では十分な冗長性が得られたものの、明らかに過剰でした。

サービスやメンテナンスの実際のコストも、初期の見積りより高くなっていることが判明しました。

レンタル

設置は、問題なく3月まで延期できます。 

試運転と最初の負荷試験の後、2基だけを設置し、生産量が再び上向く12月だけ3基目を追加するという柔軟性を得られます。

  • 予算:36万1000ドル
  • 現実:33万8000ドル 

  • 予算:53万1000ドル
  • 現実:31万5000ドル 

2017年:初めての通年操業です。生産量は60%にまで増加し、6月には2つ目の生産ラインが稼働しました。電力需要は2倍になり、第2四半期には平均で2 MWに達しました。9月頃には最大で3 MWに達しましたが、年度末の2か月間は需要が減少しました。

購入

需要が増加するまではすべてが順調に進みました。しかし、試験により、第2発電機のエンジンの1つに損傷があり、しかも保証対象外であることが判明しました。幸いにも十分な予備電源で電力を補填できたため、生産損失は報告されませんでした。

修理には約4万5000ドルを要し、保証対象範囲の紛争が生じたことで、管理職は多くの時間やエネルギーを費やしました。

生産量の増加はメンテナンスコストの増加も意味します。契約当初、過小に見積もられていた残業時間を見直すために、サービスプロバイダーとの間で困難な交渉が行われました。

レンタル

迅速な対応により、3基目の電源モジュールは6月からラインに追加されていたでしょう。しかも設置は注文から24時間以内です。

また、この3基目のモジュールは11月に再び撤去できます。

  • 予算:36万1000ドル
  • 現実:41万1000ドル 

  • 予算:53万1000ドル
  • 現実:44万5000ドル 

2018年:生産面ではほぼ完璧な年です。工場はまだフル稼働ではないものの、3本の生産ラインが稼働しています。この年は力強いスタートを切り、第4四半期には通常の減産が見られました。平均消費電力は2.5 MWで、夏のピーク時には4 MWに達しました。電力供給網は2018年末までに完成する予定でしたが、6ヵ月遅れて2019年半ばまで先送りされました。

購入

電力に関して大きな「想定外」はありません。すべてのユニットが想定どおりに稼働し、小規模な修理のみが必要でした。しかし、フル生産時のメンテナンス見積り額が実現可能性調査の段階で適切でなかったため、実際のコストは約4万ドルになりました。

レンタル

生産量の増加に伴い、1月中旬、迅速に追加ユニットが導入され、10月には再び撤去されていたはずです。もちろん、すべてのメンテナンス、サービス、修理コストはレンタル料金に含まれています。

  • 予算:36万1000ドル
  • 現実:40万5000ドル 

  • 予算:53万1000ドル
  • 現実:46万5000ドル 

2019年:11月にガラス工場がようやく電力供給網に接続され、ディーゼル発電機がラインから撤去されます。しかし事業が低迷し、工場は生産能力の50%での稼働となり、わずか1シフトでこの年を終えました。

購入

操業停止後、すべての機器の販売や撤去の交渉が開始されました。目標は、年末までにすべてを会計帳簿からなくすことでした。理想的には、現在の状態で簿価を上回ることでしたが、このような取引の経験がない現地のチームにとっては難しい仕事でした。

レンタル

3月には1つの機器が撤去され、11月の契約終了までは2つの機器のみが残されていたでしょう。

  • 予算:36万1000ドル
  • 現実:37万3000ドル 

  • 予算:53万1000ドル
  • 現実:29万7000ドル 

2020年:中古モジュールの販売は予想していたほど簡単ではありませんでした。最も良い取り引きでも簿価より10%安い価格であり、清算は3月までかかりました。経済的な痛手により、2020年の業績に約8万5000ドルの悪影響が及びました。言うまでもなく、レンタルの場合は、経済的な損失だけでなく、冗長機器の撤去に費やす時間、労力、ストレスのすべてを回避できたはずです。

結論:使用者の総費用

機器のレンタルと購入、どちらがベストか?

4 MW発電機の現実

すべての数値をまとめた結果、合計金額は次のようになりました。

 

全体

購入

レンタル

予算

152万4000ドル

220万4000ドル

現実

170万7000ドル

160万2000ドル

このケーススタディには、機動性、予測可能なキャッシュフロー、そして何よりも安心感という価値がよく表れています。特に、昨今の不確実性が増している世の中では、調達の判断に総所有コストだけではなく、使用者の総コストも加味することが極めて重要です。

お客様の状況を一緒に見てみましょう。当社は、お客様の業務の詳細を検討し、さまざまな事態の影響を定量化できます。これにより、お客様はプロジェクトの全体像に基づいて判断することが可能となります。 

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